野外空間利活用プラン

市民が参加体験・交流できる場に

海に浮かぶ広々とした多目的公園と、横浜の発展でのアイテムであるコンテナや艀を利活用した空間で、横浜18区の市民が「チーム横浜」となり、協働して創作・発表ができる空間づくり。

会議で出た方向性

これまでの5回開催された会議では、多種にわたる分野の参加者から様々な意見やアイディアが述べられましたが、その中でも自然と一体化した緑豊かな場所にしたい(低密度開発)や、海との関わりを取り戻すために水と街が繋がる場にしたい(砂浜や干潟の造設)など、自然回帰型の意見が多く見受けられました。中には出島として経済特区にするや、横浜市大病院を移転させ、近くに福祉施設、高度医療病院などを誘致するなど、規模の大きい案もありましたが、ここでは市民が気軽に参画、交流できる場づくりを中心にまとめました。

 

野外空間のイメージ

まずは、ほぼ全体を多目的公園(前頁参照)とし、そのエリア内に様々な施設や空間が点在するというレイアウトとし、横浜市18区の区民全体に開かれ、各々の創作作業や発表が自由に繰り広げられる場にします。市民が参加体験できる共創の場、次世代に繋ぐための長期的なグランドデザイン、その2点がベースとなるでしょう。公園は低木と緑で囲まれたNYのセントラルパークのイメージで、日常的にマルシェや屋台が出店し、周辺にはカフェテリアやショップ・カフェ・レストランなどが並んだ市民が集い賑わう場とします。プランの中には、京都のような低層の「町屋」的街区にして、長屋的に文化・市民施設を配置するという意見もありました。

 

森林の中には野外ステージを造り、コンサート、ダンス、演劇、映画上映など、文化、芸術コンテンツが気軽に観覧できる場とし、海と接する部分は遊歩道として、一部を水に触れられるデッキにします。また、護岸側に停泊させた艀(右頁参照)を改修した劇場と併せた形で運用していくことで、水辺、緑地、艀、施設と、異なった空間が活用できる、エリア全体がユニークベニューの存在にもなると考えます。

 

市民が参画、交流できる場

音楽スタジオ・工房などで創作された成果の発表や展示などを園内で頻繁に行い、市民が複合的にアートにふれ合い、学べる場として活用できるといいと思います。そこでは専門家とのワークショップを実施したり、公的機関や文化施設などのアウトリーチによる教育の場だったり、交流の場と体験の場となることを願っています。同様に親水広場やステージでも、市民参加プロジェクトの一環で、演劇、オーケストラ等をプロアマ共催で実施できると良いでしょう。

 

共創エリア全体が、市内の学校が課外授業で使える場であり、情報共有やハブ的機能も備えた市民活動のサポートの場、学生や地域活動団体の横断的連携を支援、実践する場としても機能するようにしていきます。また、多くの若者、多国籍の文化が交わる場としてフードフェスや交流イベントなどを定期的に開催すると集客効果に繋がると思います。さらには、横浜の特異な点である、生産農家や中央市場が近いというメリットを活かし、採れたて野菜や海産物のマルシェや調理品販売もエリア内の各所で取り入れたいと考えています。その仕組みと連携して公園内に農園や池、河川を作り、子どもたちが農業体験しながら生産していく場や、動植物と触れ合うビオトープエリアもあるといいでしょう。周辺にBBQやキャンプなどの自然体験ができる一角を設け、倉庫にはキャンプ用品と共に緊急物資も備蓄し、災害時には公園での避難生活が可能な仕組づくりも進めていきたいと考えています。


社会と共存しながらの展望

バリアフリー整備はもちろん、社会的弱者、障がい者なども集いやすい環境を整え、教育・子育て・障がい・福祉/介護等のサテライト施設とも連携し、孤立になりがちな方々の参加を促したりネットワークを構築できる場にもしていきたいと考えます。

立地的にも、海側からの視点で発想の転換ができるクリエイティブな場所、アート・サイエンス・ビジネスが繋がる最先端な場所となると考えていますし、保税地区の特色を取り入れたマーケット開発や、インバウンド向けの地域連携企画、インキュベーション的な役割、仕組みづくりなど、実験的な試みを段階的に取り入れて、創業希望者や企業誘致も進めていくことで、地域経済や産業でのシナジー効果や横浜ブランドの向上にも繋がるとも考えています。