子育て支援のサテライト施設

「みんなで子育て」を目指す 横浜市に足りないもの

横浜市でも少子化が進み、子どものいる世帯が減少し、核家族やひとり親家庭が増加しています。共働き家庭がふえるにつけ近所との交流が減少したため孤立し、不安や負担を感じながら子育する家庭の問題が深刻化しています。

 

横浜市は、生まれる前から青少年期に至るまで、子どもや子育て家庭を切れ目なく支援するために「横浜子ども・子育て支援事業計画」を策定し、保育サービス、相談支援体制の充実、子育て世帯の経済的負担の軽減などを行ってきました。しかし、横浜市内の各施設・サービスは乳児期・幼児期・学童期など、子どもの年齢に応じて整備されているため、それが年齢による切り分けの弊害をうみ、総合的な子育ての環境が形成出来ない印象があります。

 

「みんなで子育てる」を実現するには、行政や支援組織と一体化した取り組みは不可欠としたうえで、支援団体や子育て世代同士の交流だけでなく、親も子も様々な世代の人たちと出会い交流できる新しい場の創設が必要だと考えます。そこで、子ども・子育て支援に携わってきた人々が運営に関わる共創エリアに、子育て世代が足を運びやすい環境と、多世代の交流の場となりうる施設を作れば、相乗効果が生まれることが期待出来ます。

 

「遊ぶ」を通じて、出会い・ つながり・創造する場の必要性

市内に整備されている子育て支援拠点や関連施設の認知度は上がっているものの、「何か相談しないといけないのか」「人と話すのが苦手で」など行きにくさを感じる人もいます。また、0~1歳児の利用が多く、保育所や幼稚園を利用するようになると、これらの施設とのつながりは一挙に薄れます。そこでもっと気軽に、年齢にかかわらず遊びに来ることができる場があれば、相談する機会が自然と増える筈です。

 

例えば、赤ちゃんから100歳までを対象としている「おもちゃ美術館」は、おもちゃを媒介にさまざまな世代の人が楽しくコミュニケーションがとれる施設として評価がたかまりつつあります。遊び(体験)を通じて自然と人々が出会え、新たな交流が生まれるという仕掛けができたら、子育てがもっと楽しく充実したものになるでしょう。

 

また、幅広い世代の人が集まる可能性がある施設だからこそ、年齢ごとに対象化している既存の支援をまとめる機能も付加できる可能性があります。切れ目のない支援のキーステーションとなることが期待されます。これまでリーチできなかった層の親子とも出会える可能性が大いにあり、市政の参考になることが十分に考えられます。

 

東恵子

NPO法人シャーロックホームズ理事長

一般社団法人ダブルケアサポート代表理事