障がい者支援のサテライト施設

福祉環境の実状

2022年、スイス・ジュネーブにある国際連合欧州本部で、日本政府の「障害者権利条約」の取り組みに関する総括所見として厳しい勧告がされ、日本の福祉環境の実態と課題が浮き彫りになりました。

 

障がい者支援を含む福祉施設は地域に多く存在しており、近年ではバリアフリーや啓発活動が進み、身体障害者が地域社会で積極的に参加できる取り組みが強化されています。しかし、ひとことに障害といっても精神や身体や要介護の事案まで幅広く、更に年齢を重なることにより障害の質やレベルが変容します。福祉の充実を図るためには障がい者当事者の視点に立ち、多くの社会資源と連携し総括的な支援体制を築くことが重要です。しかし、今後は補助金の割り当てが難しくなるうえに、慢性的な人材不足により活動が制約を受けることで施設や職員が孤立することが予測されます。そこで、それらを改善するために『共創エリア』のなかに、 障がい者と福祉職員双方の支援基幹施設である“障がい者支援のサテライト施設”を創設することを考えました。

 

サテライト施設の 機能と可能性

ここには専門的な知識や資格を持つ専属職員が常駐し、横浜市内の施設事業者や障害者が訪問利用できる社会福祉のセンター的な機能を有します。そして今まで疎遠だった施設従事者同士の交流が進むことで、技術面の情報交換が活性化します。また障がい者に関する幅広いサービスとして、例えば就労支援、医療、リハビリテーション、カウンセリングなど、個々のニーズに合わせて柔軟かつ総合的に対応出来ます。

 

さらに併設予定の工房などの創作施設や展示会場など共用空間を利用し、18区街との連携でコミュニティ育成と活動の拠点として機能させれば、障がい者と市民との交流が促進され共感を生む大きな機会が作れます。また展示会やセミナー等を開催し、障がい者への理解と意識を高め差別意識の解消や、高齢者を含む包摂的な社会を構築するための福祉教育や啓発活動が可能です。

 

また、さまざまなステークホルダーと協同し、バリアフリーな環境のモデル形成や障がい者向けの最先端のアシストテクノロジーなど、社会実装のための人間工学やITを活用したイノベーションの検証も可能です。港の景色が障害者及び福祉関係者の心を満たし、“インキュベーションセンター”企業誘致においても優位に働く筈です。