よこはまと海

海のように寛容で自由な場所

誰もがそれぞれの豊かさと幸せを感じられる、みんなに自慢したくなるような、そんな場所になったらいいね。

山下ふ頭は中心市街地から隣接して突き出た海の半島。私たちはこの場所が”港町”横浜として、海と人間生活のつながりを取り戻す大切な役割を担わせたいと考えた。ここでいう「海」とは、豊かな生態系を育む場所や、船が行き来する場所、広く穏やかな景観、内外の多くの人たちが訪れ交差するような玄関口、などいったイメージを含むものである。

 

私たちは、山下ふ頭のあり方について関心の高い市民で集まり、何度となく意見交換を行ってきた。それにより、本当に幅の広い方向性を検討することができたが、それらは大筋として、上述の「海とのつながり取り戻す」というイメージが通底するものであった。

 

本提案書の内容は、幾度も重ねられた話し合いの中で出てきた具体的な提案をまとめたものであるが、誌面の都合上その全ては載せられなかった。しかし、それらの中から全体像を損なわないように内容を絞り、それぞれの項目について賛同者の中の代表者が交代で執筆することで誌面をつくっている。

 

横浜が都市として発展してきた過程において、近世における内海の干拓から始まり、産業の発達とともに海岸線は工業地区としてほぼ埋め立てられたように、都市と海との関係は次第に遠いものとなり、それが今の中心市街地のあり様につながっている。

 

山下ふ頭は、そのような横浜の港湾の姿を表す代表的な場所である。この場所が再開発を契機に、横浜という都市が海とのつながりを取り戻す、新しい時代を示す場所になることを市民みんなが願っている。