生物多様性

多様な自然が都市の価値になる

暮らしの傍らに、多様な自然があることが都市生活において、どれだけ幸せなことだろう。経済、効率、合理性などを求めるあまり、失われ、忘れ去られたものは計り知れない。

でも自然は寛容で力強い回復力を持っていると信じたい。今からでも遅くないはずだ。価値観をアップグレードして、これからの開発の基準に生物多様性という視点を持とう。

100年先の心地よさのために

横浜は東京に比べて夏は少しだけ涼しくて冬は少しだけ暖かい。それは海を渡ってくる風のおかげだ。その計り知れない恩恵を与えてくれる海に三方を囲まれた山下ふ頭が市民のための場所になるのだ。

 

ニューヨークのかつて廃墟だった工場跡地に湿地を活かした公園が造られた。マンハッタンに面した4.5ヘクタールもある広大な都市公園で、洪水対策にも考慮したデザインだ。ショッピングモールやアミューズメント施設よりも、身近に自然があることに人々が心地よさを感じ、価値を見出しているのだ。

 

山下ふ頭は、豊かで多様な海があることが、横浜の価値になっていくような開発でなくてはならない。100年先を見据える必要があるのではないか。

ハンターズ・ポイント・サウス・パーク
ハンターズ・ポイント・サウス・パーク
公園から夕暮れのマンハッタン望む
公園から夕暮れのマンハッタン望む

子どもたちが望む海って?

以前、トライアスロン会場(山下公園)で、そこに訪れた子どもたちに、横浜の海がどうなったらいいかを尋ねたことがあった。「きれいな海で泳ぎたい」「ごみのない海にしたい」「生きものがたくさんいる海がいい」、「砂浜で遊びたい」「釣りをたい」など、466件もの海への熱いメッセージと、たくさん生きものの絵が集まった。

 

山下ふ頭の再開発をきっかけに、多くの子どもたちが望む海をつくろう。

子どもたちが付箋に書いてくれたメッセージの一部 (ヨコハマ海洋市民大学HPより)
子どもたちが付箋に書いてくれたメッセージの一部 (ヨコハマ海洋市民大学HPより)

100年かけて壊した自然は100年かけて取り戻す

兵庫県尼崎市に「尼崎21世紀の森構想」というプロジェクトがある。「100年かけて壊した環境を100年かけて取り戻そう」をコンセプトにかつて工場地帯だった埋立地に森をつくるというものだ。また運河なども活かしながら住民と企業、行政の協働で進められている。

 

眺めるだけの海から、ふれて楽しむ海へ

横浜の海岸線はほとんどが残念ながら触れるどころか、近づくことすらできないのが現状だ。その中で、この山下ふ頭の再開発は370万人のすべての横浜市民にとって、「海」を取り戻すチャンスでもある。

 

横浜らしい海との暮らしとは何か、人も生きものもずっと、安心してご機嫌に暮らしていけるような場所には何があったらいいのか。さぁ、みんなで思い描こう!