横浜18区街

コミュニティ再生としての『横浜18区街』

「ミナト横浜」の一体感

横浜市は、日本一人口の多い基礎自治体です。市域も歴史的に拡大していて、行政サービスの地域の特性に合わせた実施と向上のために18の行政区に分かれ、かつての「ミナト横浜」の一体感を市民が実感する機会が少なくなってきています。高齢化などにより実際の生活圏も区内を中心に行動されている市民もいます。各地域のコミュニティも少子高齢化の波で分断されています。この各地域のコミュニティに横浜らしい活力を注入するための試みが拠点施設『横浜18区街』です。

 

「横浜らしいミナト」から 「横浜らしい場所」へ

山下ふ頭の再開発に際して、一地域としての中区の市民だけでなく、ひろく横浜市民が、自分たちと関わりのある場所として認識し活用できるように計画することが、山下ふ頭だけでなく、未来の横浜のためにも不可欠ではないかと考えています。山下ふ頭は、「横浜らしいミナト」を感じられる好立地です。ここに18の区の市民活動の情報交換と交流ができる『横浜18区街』を設けることで、更に「横浜らしい場所」として創発することできます。

市民をつなぐ「クリエイティブな活動」

 

『横浜18区街』には、創造都市宣言のビジョンを継承して、市民がクリエイティブな活動を共有できる「スタジオ機能」や情報を共有して次の機会を創出するための「コワーキングスペース機能」など市民の共創を促す機能を計画します。「スタジオ機能」では、アートやデザイン・音楽・文学など創造的な活動を通して横浜を考えていくプログラムを実施します。「コワーキングスペース機能」では、市民のさまざまな情報とアイデアが交差する次の横浜の活力となるプロジェクトの支援を実施します。『横浜18区街』も活動の自由度と効率化を高めるためにコミュニティとして自立を目指します。

市民による自律的な運営

『横浜18区街』は、行政主導の運営ではなく、市民による自律的な運営ができるように、市民による実行委員会での組織運営を目指します。各区から「無作為に選出した市民」から選ばれた偏りのない市民実行委員と「アートや公共政策など専門的な知識を有する市民」専門実行委員による構成とします。「無作為に選出した市民」とは、「希望する市民」だけでは偏在化してしまう意見を避けて、幅広い市民の声を届けるための仕掛けとなります。専門家はその一つひとつの意見に耳を傾けて、実現のために専門知識を活かす試みです。歩んでいく方向は明確に、多くの市民の声に耳を傾けるがコンセプトとなります。横浜の未来のために、多くの市民が自発的に行動して、ここで出会い、触発されていくことを期待しています。

 

清原 理

地域創発プロデューサー

対話のデザイン研究所主宰